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大学教育学会課題研究 中間報告③

発達障害学生への学生支援・大学教育の役割(2014~)

 2014年9月30日
金沢大学 青野 透

研究の背景

 この課題研究は、2014年5月30日に開催された大学教育学会理事会で選定されました。研究期間は2014年6月~2017年5月です。今回は初めての報告ですので、研究の背景を中心にご報告します。

 この研究を行う必要性は、大学教育における障害学生支援の位置づけが明らかになっていないというところにあります。発達障害者支援法(平成17年4月1日施行)は、「大学及び高等専門学校は、発達障害者の障害の状態に応じ、適切な教育上の配慮をするものとする」(第八条2項)と規定しました。では今、実際の発達障害学生支援はどのような状況にあるのでしょうか。一例を挙げますと、日本学生支援機構による平成24年度調査によれば、障害学生支援に関する「専門委員会を設置」185校と「他の委員会が対応」598校を合わせた783校で「組織的な対応をしている」(同報告書39頁)高等教育機関が、全回答校1、197校の65.4%です。残る3分の1の高等教育機関では、発達障害学生だけでなく障害学生全般への支援に組織的対応を取っていないと推測できます。そして、全国の高等教育機関に「発達障害(診断書有)学生1,878人」「発達障害(診断書無・配慮有)学生2,746人」が在籍すると報告されていますが、この数字に、関係者の多くは、発達障害学生がこんなに少ないはずはない、受けるべき支援や配慮を受けていない発達障害学生がもっとたくさんいると見ています。大学が組織的対応をしていないからと考えることができるでしょう。

 そして、障害者に対する合理的配慮をしないことが差別になる場合があると規定した障害者差別解消法が成立し、国公立大学には「社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的配慮を」することが義務づけられ、私立大学に対しても努力義務とされました。平成28年4月1日の施行までに、全大学は組織的対応の準備をしなければならないわけです。
 

研究メンバーとこれまでの成果

 そこで、青野、枝廣和憲(岡山大学)、大島啓利(広島修道大学)、小川勤(山口大学)、片岡美華(鹿児島大学)、加藤洋子(首都大学東京)、橋場論(福岡大学)、望月由紀(お茶の水女子大学)、山中淑江(立教大学)吉武清實(東北大学)の本学会会員に、岩田淳子(成蹊大学)、村松健司(首都大学東京)、渡部みさ(首都大学東京)の3名の日本学生相談学会会員が加わり、研究を始めました詳細は、大学教育学会ニュースレターNo.96の18頁以下をどうぞ。

 この間、『文部科学教育通信』(ジアース教育新社)に、研究メンバーによる「連載・発達障害学生への合理的配慮と大学教育」が始まり、青野「JASSO調査に見る発達障害学生修学支援の現状(1)-増加する在籍者数-」(第340号)~山中「学生相談における支援の現状と課題」(第348号、9月22日発行)が掲載されています。

 また、9月23日(火)には、石川県金沢市(金沢学生のまち市民交流館)にて、「発達障害学生への合理的配慮に関する研究会」(主催:金沢大学大学教育開発・支援センター、共催:大学教育学会「発達障害学生への学生支援・大学教育の役割」課題研究委員会、協力:石川県障がい学生等共同サポートセンター)を、研究メンバーの他、石川県内6高等教育機関の教職員の参加を得て、開催しました。

 



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