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会長より

会長所感 会員の大学教育研究力向上プロジェクトと英語による発信プロジェクト(国際化推進の実質化と持続プロジェクト)

大学教育学会は、前会長体制のもとで、法人化を実現し、多様な会員の増加のニーズに応えるべく、将来構想プロジェクトを発足させ(2017年度より将来構想委員会が設置)、「初めて大会に参加する会員のためのワークショップ」、「アクティブ・ラーニングに関連した様々なテーマを扱うポストワークショップ」「若手交流集会」「JACUEセレクション」等が実現できました。ひとえに、小笠原前会長、山内事務局長、および将来構想担当濱名常務理事のリーダーシップのもとでの将来構想プロジェクト(委員会)のご尽力であると感謝しています。また、前会長のもとで、国際化については、AAC&UとのMOU締結という画期的なことも実現できました。

こうした大きな業績をもとに、次期の体制では、それらを持続可能にする方策、実質化することを柱に、さらにもうひとつの柱として会員の研究力向上のための方策を推進したいと考えます。

既に、様々な機会を通じて、会員の多様化が指摘されています。もともとのディシプリンの多様性(一般教育学会から発足したという経緯も含めて)に加えて、近年は職員の参加も増加しており、かつ職員と研究者の中間にあたる層も増加しています。そのため、自ら研究を進めていくうえでの、研究の基礎あるいは発展のトレーニングを受けないままに、論文執筆や研究課題を提示し、発表するケースも増加していることは否めません。

わたくしは海外の大学院でトレーニングを受けた経験として、大学院では1年間3クォーターにわたって、3つの研究方法に関する授業を必修として受け、それらは量的および質的調査方法あるいは歴史的・文献調査法のいずれでも良いが基礎から発展というように連続性のある授業を受けるというものでした。大変でしたが、これまでの研究を振り返るとこの経験がどれだけ役にたっているかといまさらながらに思うところです。わたくしの所属する大学院の博士前期課程の1年次にも「教育文化学の理論と方法」という授業を必修として、前期、後期にわたって総合的に学ばせるようにしています。私も担当しています。

日本の大学院ではなかなかこうした研究方法のトレーニングをカリキュラムとして総合的にうける機会が少ないこともあり、かつ様々な背景を持つ会員がこうした研究方法のトレーニングを受ける機会が豊富であったとは思われません。

そこで、会長、副会長をHead、Subheadにかつ常務理事と事務局長との綿密なコミュニケーションのもとで、

(1)大学教育研究力向上プロジェクトとして、

研究方法講座シリーズの実施を是非考え、推進していきたいと考えております。

具体的には、これからですが、イメージとしては、
講座の組み合わせ
  例

1.「大学教育学研究の理論と方法」総合的な大学教育学研究の理論と方法について、
  「課題の設定、RQの立て方、先行研究について、研究方法の種類、研究手法の選択、
  実施、分析等々」総合的な研究についてのイロハの説明
2.具体的な研究手法シリーズ
  例 「量的調査手法」「質的調査手法」「文献研究手法」「自然科学研究手法」等
3.論文執筆方法と英語による研究発表手法
  「日本語論文執筆の作法」「英語論文執筆」「英語による研究プロポーザル執筆」
  「英語による研究発表」等
4.研究倫理に関する作法

等様々な内容が考えられますが、いくつかをシリーズとして提示し、申込制による講座受講、そして、できれば、広報・情報化委員会により、内容をオンラインあるいは動画として会員にニーズベースで受講できるようにする。このプロジェクトは、編集委員会、国際委員会、将来構想委員会すべてにかかわってきますので、国際委員会と将来構想委員会からは若手の委員をだしていただき、このプロジェクトにはかかわっていただきたいと考えています。また、別途若手の会員をこのプロジェクトに参加させたいと考えております。

今年度はプロジェクトとして発足し、具体的な方策(内容等)とスケジュールを練ることに注力をする予定です。特に、将来構想委員会とは現在進捗しているポストワークショップとの関連があるため、連携しながら、重複しないような内容を考案することが必要だと考えております。次年度以降に、具体的な内容が固まれば、委員会として設置することも考える必要があると存じます。

(2)英語による発信プロジェクト(国際化推進の実質化と持続プロジェクト)

本プロジェクトとしては、先日AAC&Uとの連携により日本からもAAC&Uによる審査を受けての発表ということが話題になりましたが、これに関しては(1)の3.での英語による研究プロポーザル執筆と研究発表ということが関係してくる部分があります。アジア諸国での英語による研究力向上を目指しての国際会議は多くあり、かつその水準も上がってきています。AAC&Uでの発表という場合に、日本人の発表に聴衆を引き付けるためには、よほど先方が関心を持つテーマ(例えばSTEM)であるか、あるいは少数の日本研究者がいて、日本に関心のある場合、あるいは研究の水準が高く、英語での質疑応答も含めての発表が相手の水準に耐えられるといった3つの要素が深く関連し、このままでは、AAC&Uとのせっかくの連携が実質化しない可能性があります。是非、次世代も含めてこれらを実質化していくことが大事であると考えています。

そのためには、国際委員会、編集委員会、広報・情報推進化委員会との連携が必要となります。具体的な案としては、

①編集委員会から出た意見として、既に日本語として掲載された論文を英訳してオンライン上で掲載する。
②現在の査読システムでは編集委員会の体制上、英語論文の査読は実質的に難しいという現状に鑑みて別途、何年間かに1本の英語による特集号を発刊する。
③HPでの英語の発信時期および内容を迅速化し、より魅力的なツールとして活用する。

その他、いろいろな方策があるかと思いますが、是非、国際委員会を主体に編集委員会と広報・情報化委員会との連携によりこの英語による国際化推進を実質化していきたいことが2つ目の柱となります。なお、大学教育学会の国際言語は英語として扱いたいと考えます。

本プロジェクトも今年度はプロジェクトとして発足し、具体的な方策(内容等)とスケジュールを練ることに注力をする予定です。松下副会長の支援のもとで、国際担当常務理事である夏目理事と夏目委員長をトップとした国際員会のメンバー、広報・情報化担当常務理事である小笠原理事が広報・情報化との連携のためにお入りいただき、川嶋理事にも担当していただきたいと存じます。編集委員会との連携については、副会長で編集委員長である松下理事が担っていただくことになります。HPでの英語の発信作業そのもの(英語翻訳をはじめとして)については、委員会が行うというよりは、アウトソーシングが現実的であろうと考えています。それらも含めて次年度以降に、具体的な内容が固まれば、委員会として設置することも考える必要があると存じます。

(注)この所感は、2017年8月26日に関西国際大学において開催された2017年度第2回理事会で表明されています。

(2017.10.10 文責:山田礼子)