研究の動向

課題研究「現代のリベラルアーツとしての理数工系科目(STEM)の開発と教育の実践のために」:最近の動向

 

■世界的なSTEM(科学・技術・工学・数学)教育の新しい流れに呼応して、本学会では2017年から2年計画で標記の課題研究が進められています。新しいSTEM教育の特色は、経済競争の基盤強化のみならず、科学技術のリスクをコントロールするために、市民が科学技術への理解と判断力を持つことを目指していることにあります。人権や平等など普遍的な人間的価値を尊重する教育、すなわちリベラル教育と組み合わせて構想されることが必要であり、本学会が目指す方向と一致しています。

■2017年8月現在で15名の企画研究員がおおよそ以下の3つのグループに分かれて、研究を進めています。

1)STEM高等教育と21世紀型教養・スキルの関係:山田礼子会員(同志社大学)を中心に、ワークショップ、ヒアリング、海外調査などを進めている。

2)数学リテラシー教育の開発:川添充会員(大阪府立大学)を中心に、新しい数学の授業の開発、ティップスの開発などを目指している。また、本年1月にこのチームのメンバーが中心になって国際ワークショップを東京で開催した。

3)授業例:細川敏幸会員(北海道大学)が中心になって、STEMの新しい授業例を募集し、さまざまな形態(動画、静止画、シラバス、ティップス、電子ブック)で編集し、公開する予定。インテグレート科学の電子ブック化を進め、監修グループの組織化を図っている。

以上の内容の一部は、この研究発足の前後に採択された複数の科研費研究と、成果公開の場を用意しフィードバックを助けるという形で、連携しています。

■上の2)と3)に関係して、研究成果をリアルタイムで公開する目的で、斉藤準会員(帯広畜産大学)が中心になって、学会サイトに「STEMひろば」を開設し、必要な情報を集約するとともに、分野間交流のための会員グループの組織化を企画しています。このようなSTEM教育実践のための交流サイトモデルについて、3月3日〜4日に京都産業大学で開催予定の「FDフォーラム」の第4分科会で報告し、広く関係者に呼びかける予定です。この分科会の概要は以下の通りです。

概要(本サイトに掲載するためにリライトしたもの)

本格的なAI時代の到来を前にして、大学教育におけるサイエンスリテラシー教育・学習のためのプログラム再構築が社会的に要請されている。特に、AIの重要な要素である統計教育をどうするかは焦眉の急である。この分科会では、すべての市民のための統計教育のデザインを柱に、ディシプリンの壁を越えた実験教育、及び教育実践のティップスを発信・普及するためのウェブサイトモデルの報告を組みあわせて、未来に備えるための教育プログラムを議論する。

この分科会のプログラムの詳細は「STEMひろば」に掲載されています。